拍手と歓声に応える草間彌生さん(撮影/写真部・東川哲也)
拍手と歓声に応える草間彌生さん(撮影/写真部・東川哲也)
「わが永遠の魂」シリーズの展示室で、草間彌生さん。オブジェ、左から「明日咲く花」2016年、「真夜中に咲く花」2010年 いずれも作家蔵(撮影/写真部・東川哲也) (c)YAYOI KUSAMA
「わが永遠の魂」シリーズの展示室で、草間彌生さん。オブジェ、左から「明日咲く花」2016年、「真夜中に咲く花」2010年 いずれも作家蔵(撮影/写真部・東川哲也) (c)YAYOI KUSAMA
草間彌生さんをモデルにしたマスコット。クリアファイルやバッグ、パスケースやグラスなど、グッズの充実ぶりにも目を見張る(撮影/写真部・東川哲也)
草間彌生さんをモデルにしたマスコット。クリアファイルやバッグ、パスケースやグラスなど、グッズの充実ぶりにも目を見張る(撮影/写真部・東川哲也)

 草間彌生さんの登場に、拍手の大きさに負けないくらいのシャッター音が響きわたり、あたりがフラッシュの光で白く染まる。2月21日、国立新美術館の開館10周年を記念しての「草間彌生 わが永遠の魂」展の会場には、異例とも言える数のメディアが押しかけた。昨年、米TIME誌「世界で最も影響力がある100人」に日本人として唯一選ばれたこともあり、外国人プレスの姿も目立つ。いまや、前衛芸術家クサマヤヨイの名を知らない人はいないだろう。

 にもかかわらず、この展覧会に際し、草間さんは「私はまだまだ努力が足りないと思っている」と語っている。「もっともっと人生に深い悩みと、人間愛に対する畏敬の念に対して、深く自分のメッセージを広げ、芸術家としての道を歩みたいと思っております」、と。

 その言葉の通り、3月には88歳となる草間さんは、いまも毎日、療養中の病院からアトリエに通い、朝の9時から夜遅くなるまで作品を描いている。さらに、病院に戻ってからも小型の作品を手がけるというから驚きだ。

 2009年から現在に至るまで手がけている大型の絵画シリーズ「わが永遠の魂」は、7年間で500点を超えたというから、3日に1作というハイペースで制作されていることになる。

 今回の展覧会では、そのシリーズの4分の1にあたる約130点が日本初公開される。草間芸術の象徴である水玉やネット・ペインティング(網目)、連続する目や顔などが、1辺2メートル近い大型のキャンバスに、アクリル絵の具で鮮やかに濃密に描かれるさまは圧巻。

 間近で見られるだけでなく、この連作の展示室ではスマートフォンでの撮影も許されているのがうれしい。

 ほかにも、10歳の頃に鉛筆で描いた母親の肖像に始まる、生地・長野県松本市時代の作品や、アンディ・ウォーホールらにも影響を与えたアメリカニューヨーク時代の作品、屋外に置かれたかぼちゃのオブジェや、鏡張りの部屋に多数の光がきらめくインスタレーションなど、70年を超える芸術活動を一挙に見られる、贅沢な構成。

 草間彌生さんご本人の声で、作品への思いや、日々の制作の様子が語られる音声ガイドも必聴。自作の詩の歌うような朗読も聴くことができ、まるで一緒に作品を見ているかのような気分が味わえる。

 さらに、中学生以下の子どもがいる場合にぜひチェックしたいのが、休館日の3月28日(火)に開催される「キッズデー」。子連れでも気兼ねせず鑑賞できるだけでなく、作品をもとにしたぬりえができるお絵かきコーナーといったスペシャルプログラムや、子どもには数量限定で特製「草間彌生缶バッジ」のプレゼントがあるなど、至れり尽くせり。

「草間彌生 わが永遠の魂」YAYOI KUSAMA: My Eternal Soul展は、東京・六本木の国立新美術館 企画展示室1Eで、5月22日まで開催される。

 日本が誇る草間芸術の集大成、見逃さないようご注意を!

※週刊朝日オンライン限定記事