<殿下 たとえば、夜、外を歩いてても、ぼくとわかると、反感抱いているような人は突っかかってきたり、札幌にいるときもずいぶんけんかになったことがありますよ。でも、しようがないよね。

 黒柳 どうなさるんですか、そういうとき。

 殿下 ことばで突っかかってくるのもあるし、なぐってかかるのもあるけど、そういうのはなぐり返すだけよ。(笑い)>

 取材手法も時代を映す。76年12月3日号「暴走族同乗ルポ・なにを死に急ぐ“土曜の夜の天使”たち」には、本誌の現役編集部員もたじろぐ。

 記者は当初、自分の乗用車で暴走族を追おうとするが、彼らのバイクのスピードについていけない。<結局、乗り込んでしまった>と、暴走族のリーダーの乗る「スカイラインGTR」に同乗する。少年たちは信号を無視し、交番の前でニセのサイレンを鳴らして警察を挑発する。記者の冷や汗は止まらない。

<前方に料金所が見えてきた。ガクゼン。警察官が二十人ぐらい横一列に並んで待ち構えているのだ。万事休す、おじさんは観念した。捕まるのも仕事のうち、そう覚悟することにしよう。それにしても、なんという心臓の高鳴り。みっともない、情けない、恥ずかしい>

 少年たちは明け透けにこんな話までしている。

<うん、知ってるやつ、何人か死んでるよ。葬式に行くと、あんたたちが誘ってくれなければよかったって泣くお母さんもいるけど、そんなん、過保護だね。お宅の息子さん、いやでやってたんじゃないよって>(一部敬称略)

週刊朝日 2017年3月3日号より抜粋