落語とプロレスは似ている? 春風亭一之輔が語る共通点
連載「ああ、それ私よく知ってます。」
セミファイナルに棚橋が登場。ようやく感情移入できる選手!!
「背中の傷は癒えたのか!?」
と聞くと二人から、
「いつの話をしてるんだ!?」
との突っ込み。そんなに前だったっけ?
メインイベントのオカダ・カズチカ対ケニー・オメガ。これは引き込まれた。ケニー、スゴい。負けはしたけど一番記憶に残ったのはケニーさん。もちろん勝ったオカダも輝いていた。
プロレスラーと落語家って似ている。レスラーはめいっぱいのパフォーマンスを魅せつつ、敵をも輝かせる。落語家は噺を対戦相手に、試合(高座)を組み立てて観客を魅了する。
多少しょっぱい噺でも演りようによっては面白くもなり、作品自体が魅力的でも下手に演ると台無しにしてしまう。似ているなぁ。間合いも大事だし。
……そんな話を近所の居酒屋でして「じゃ、また来年も行きましょー」と解散した気がするが、あまり覚えていない。
翌日、満員の寄席のお客様に、
「年1回寄席に行けばいいと思ってたらダメですよー。またすぐに来てくださいねー」
なんてマクラを話してる自分がいて、「やっぱり落語とプロレスってちょっと似てるかもしれない」と思った次第。
他人に言ってる場合じゃない。今年は何回か行ってみよう、プロレス。
※週刊朝日 2017年2月24日号
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめた最新エッセイ集『まくらが来りて笛を吹く』が、絶賛発売中
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