米ツアーで4勝目を飾った松山英樹。丸山茂樹氏は「笑っちゃうぐらいの勝負強さ」だという。

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 いやあ、しびれました。去年と同じプレーオフ4ホール目での決着とは。松山英樹(24)がやってくれました! 米PGAツアー「フェニックス・オープン」(2月2~5日、米アリゾナ州のTPCスコッツデール)で2連覇達成です。

 3日目を終えて、英樹はトップの安秉勲(韓)に4打差の3位でした。安の3日目後半のプレーぶりを見て、僕は「プレッシャーがかかってきたときに苦しむんじゃないかな」と思ったんです。ほかの選手も後半伸ばしきれなかったし、ディフェンディングチャンピオンの英樹に流れが来てると感じました。

 そして最終日、13番でトップをとらえました。上がり3ホール続けて入れごろのバーディーパットを外しはしましたが、プレーオフになったときに嫌だったのは、全米オープンに勝ったこともあるウェブ・シンプソン(米)の方だったんじゃないかな? 英樹はいまノリノリの選手だと、向こうも感じてますからね。そういう威圧感を与えられたとは思うんです。

 勝負を決したプレーオフ4ホール目の17番は、332ヤードと短いパー4でした。ここでコースマネジメントの差が出ましたね。ティーショットでドライバーを持ったウェブは、グリーンを狙いましたが、右のカラー付近へ。あそこからだと、直線的に狙って強すぎれば池、弱ければバンカーです。パターで狙ってもパーがやっと。3番ウッドでグリーンの手前につけた英樹の勝利でした。

 英樹は米ツアーでプレーオフ3戦負けなしですか。日本も含めたら5戦全勝!笑っちゃうぐらいの勝負強さですね。今シーズンはこの試合まで24ラウンド連続でオーバーパーの日がないんですよね。とにかく、ほとんどボギーを打たない。いま、まっすぐ飛ばして距離感を合わせるのは世界一じゃないですかね。すごいクオリティーでプレーしてますよ。

 
 僕を超えて日本勢トップの4勝目ですけど、そんなの英樹にはちっちゃな話。日本にも本物のスーパースターが現れたってことが大事なんです。英樹は日本の誇りですよ。このゴルフを続けていけたら、シーズン5勝、6勝しても何の不思議もありません。

 あと、ファンのみなさんが期待するのはメジャー制覇ですね。4月のマスターズ(4月6~9日、米ジョージア州のオーガスタ・ナショナルGC)は、かなりチャンスがあると思いますよ。フェニックス・オープンが4位、2位、優勝、優勝ときたように、得意なコースでは、自信が結果に出てますから。オーガスタではここ2年連続トップ10です。仕上がり次第でやってくれるんじゃないかな。

 一方、タイガー・ウッズ(41)は復帰2戦目の欧州ツアー「オメガドバイデザートクラシック」を2日目から棄権しました。腰痛でスイングできない、と。連戦でどうなるかと思ってましたけど、悪い方に出ちゃったみたいですね。久しぶりの長いフライトで腰に負担もきたんだろうし、みんなにいいパフォーマンスを見せたいというタイガーの思いがあって、練習でもたくさん打ちすぎたのかなとかね。いまは本人が一番苦しいでしょう。焦る必要なんか何もないんだから、ゆっくりやってほしいですね。

週刊朝日  2017年2月24日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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