更科堀井の「太打ちそば」/創業200年以上の更科蕎麦の名店。「さらしなそば」は蕎麦の実を店内で丹念に挽き、芯の白い部分のみを贅沢に使用するが、「太打ちそば」は蕎麦を殻ごと使用する十割蕎麦。香り高い本枯節のつゆはきりりと辛口で、蕎麦に負けない力強さ。太打ちそば930円、大盛りは270円増し(税込み)(撮影/倉田貴志)
更科堀井の「太打ちそば」/創業200年以上の更科蕎麦の名店。「さらしなそば」は蕎麦の実を店内で丹念に挽き、芯の白い部分のみを贅沢に使用するが、「太打ちそば」は蕎麦を殻ごと使用する十割蕎麦。香り高い本枯節のつゆはきりりと辛口で、蕎麦に負けない力強さ。太打ちそば930円、大盛りは270円増し(税込み)(撮影/倉田貴志)

 著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回はタレント・清水ミチコさんの更科堀井「太打ちそば」だ。

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 昔から、お蕎麦は大好きなんです。車の中に蕎麦のおいしい店のガイド本が置きっぱなしにしてあって、タイミングが良ければ新しいお店を食べ歩くほど。このお店もそうやって出会った一軒です。デビュー間もないころからだから、もう30年ぐらいのお付き合いになります。

 最初はね、普通に更科蕎麦をいただいてたんですよ。季節ごとの変わり蕎麦もおいしくて、あれこれ試すうちに、この太打ちに出会った。それはもう衝撃でしたね。まず、太さがすごい。蕎麦の香りも強くて、コシもしっかり。ぐっと噛みしめると甘みがじんわり。なんだこれ?って。以来、やみつきです。

 場所的にも仕事帰りに立ち寄りやすいんです。ランチ後の休憩がないお店なので、半端な時間に食事できるのも嬉しい。庶民的で活気があって、ご近所のおじさんたちとおしゃれな人がごっちゃにいる。その混沌とした感じが、まさに東京だな、と。お客さんやお店の人たちを眺めつつ、絶品のお蕎麦をいただく。そのひとときが楽しいんです。

「更科堀井」東京都港区元麻布3‐11‐4/営業日:11:30~20:30/定休日:年始と夏季のみ

週刊朝日  2017年2月24日号