郷士坂本家10代目として、大久保さんに岩倉さん、三吉さん……いろんな子孫の方とお会いするようになりました。龍馬が学んだ北辰一刀流の千葉さんのご子孫にもお会いしています。西郷さんのご子孫には、「龍馬のおかげだ」と感謝されましたが、松平さんのご子孫には「昔貸した金を返してくれ」と冗談を言われました(笑)。そんな出会いも、龍馬がいろんな方と出会って助けてもらい、そしていろんなものを残してくれた。それが今の時代になっても続いているという気がします。

 実は私の妻が、近藤勇の養父で天然理心流の近藤周助の兄の子孫なんです。周助が五男で、妻の祖先が長男です。実はそれを初めて知ったのが結納のときで(笑)。妻の家族はなんとなく知っていたみたいなのですが。うちの父も相当驚いていました。うちには2人の息子がいますが、新選組と開国派、天然理心流と北辰一刀流のハイブリッドということになりますね。息子は2人とも剣道は習っていないのですが、社会科の成績がよかったみたいで、歴史も好きみたいですね。

 龍馬は志半ばで暗殺されてしまいましたが、手紙に書いていた「新国家」にもし声をかけられたとしても、おそらく断っていたでしょうね。北海道開拓に着手していたんじゃないかという気がします。やっぱりもともと商家に生まれていますからね。政治よりも商い、そんな血が流れているんじゃないでしょうか。(本誌・鮎川哲也、太田サトル、松岡かすみ)

週刊朝日 2017年2月17日号