「また、むずむず脚症候群の多くは特定の原因が不明の『特発性』ですが、他の病気や服用している薬によって起こる『二次性』もあります。二次性の原因は慢性腎不全やパーキンソン病、関節リウマチなどの病気、薬では抗うつ薬やリチウム、抗ヒスタミン薬などです。こうした原因がある場合、病気の治療や薬の減薬、休薬でよくなります」(平田医師)

 からだを動かすことも効果的だ。ただし、激しい運動はかえって症状を悪化させることがわかっている。ウォーキングなどの軽く、規則的な運動がよいという。

「症状が出てきたらマッサージがおすすめです。多くの患者さんは『効果がある』と言います。外部からの物理的な刺激が脳に抑制的に働いて症状改善を促しているようです。マッサージの方法は特に決まっていません。患者さんがご自身で、症状がよくなる部位や気持ちが楽になる方法を工夫してみてください」(同)

 症状の起こっている場所をシャワーで刺激するのもよいという。

「温度の変化で症状がよくなったり、悪くなったりする人も。暑さで悪化する人は冷たいシャワーが、寒さで悪化する人は温かいお湯のシャワーが向きます」(同)

 暑さで悪化する人は冷湿布も効果的ということだ。

 栃木県に住む山田芳子さん(仮名・75歳)は50代後半からむずむず脚症候群の症状に悩まされ始めた。就寝すると両脚の下から膝あたりまで、小さい虫がじわじわと這い上がってくるような不快感に苦しめられる。脚を外に出してバタバタと動かしたり、たたいたりすると症状が軽減する。

 数年後には日中も症状が出るようになり、電車の中や美容院、映画館などでじっとしていられなくなった。皮膚科や整形外科を受診したが、原因がわからなかったという。

 テレビ番組で平田医師のことを知り、受診した。診断の結果、重症のむずむず脚症候群とわかった。

 幸いプラミペキソール1錠(0.125ミリグラム)で効果が得られ、症状はほとんど出なくなった。山田さんは平田医師の指導により、生活療法にも取り組んだ。カフェインを含むコーヒーやお茶の量を控え、毎日、ウォーキングに出かけるようになった。

 治療開始から3年たっても症状は安定しており、薬を飲まなくてよいときもあるという。

「山田さんのように、日中、じっとしているときに症状が出る人は意外に多いようです。座っているときに不快感が起こり、これを解消しようと靴を脱ぐ、貧乏ゆすりをしているように見える、という場合もむずむず脚症候群の可能性があります。つらい場合は我慢せず、医療機関を受診することをおすすめします」(同)

週刊朝日 2017年2月17日号