北原みのり「日本にマドンナいねぇわ」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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北原みのり「日本にマドンナいねぇわ」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

北原氏は、トランプ大統領の就任後に起きた抗議デモから、日本の性差別の厳しい現状を痛感させられたという。(※写真はイメージ)

北原氏は、トランプ大統領の就任後に起きた抗議デモから、日本の性差別の厳しい現状を痛感させられたという。(※写真はイメージ)

 先日、友人(30代男性)に、日本のフェミニストは敗北宣言をするべきじゃないか、と言われた。ジェンダーギャップが世界最高レベル(つまりは女性が活躍できてない)で、男女の賃金格差は大きく、女性の政治家は増えず、性暴力問題は山積みで、何より日本のフェミニストにとって肝であるはずの「慰安婦」問題が解決できていない。いったい日本のフェミニストは何を目指して、どう闘ってきたのか、と。そう言われ、「はぁ? じゃあ、男は何をしてくれたのよ?」と言い返したい気持ちはあったけど、何となく唸るように黙ってしまった。

 昔よりは確実に女が手にする自由は増えたはず。闘ってきた女たちはたくさんいる。でも何故「世界」に比べて私たちの歩みは、こんなにも遅いんだろう。何故、アジア全域で行われた日本軍「慰安婦」について、私たちはよく知らないんだろう。女児のランドセルに欲望する“サービス”が商売になるのは、何故なんだろう。セックス産業がこれだけ発展し、女のモノ化が何の違和感もなく深まっていく日本の現実に、最も敏感に反応しなければいけないフェミが、今は追いつけていないのは、事実なのだと私も思う。

 ワシントンで、女たちは女性器をイメージさせるピンクの帽子をかぶって行進した。女性器をモノ化する発言をしたトランプへの抗議が込められているという。そういう抗議に50万人が集まる国、そこは何だかんだ言っても民主主義や女の人権運動が機能している国なのだ。トランプ的発言に、ある意味慣れてしまっている日本で、じゃあ私たちはどう声をあげていこう。マドンナかっけー、と憧れている場合じゃなく、DTきっかけのワシントンデモで、日本の女の現実を突きつけられた。

週刊朝日  2017年2月10日号


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北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

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