家賃2万円のアパートはドラマの宝庫? 春風亭一之輔の下積み時代 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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家賃2万円のアパートはドラマの宝庫? 春風亭一之輔の下積み時代

連載「ああ、それ私よく知ってます。」

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貧乏生活はドラマの宝庫? (※写真はイメージ)

貧乏生活はドラマの宝庫? (※写真はイメージ)

私「……とりあえず、飲む?」
彼「いえ。お酒飲めません」
私「(独りで飲みながら)何で東京出てきたの?」
彼「芸能人になりたくて」
私「はぁ……どんな芸能人?」
彼「ミュージシャン、俳優、お笑い、MC……幅広く……」
私「その勉強とかしてるの?」
彼「これから始めます」
私「ご両親は反対してるのね?」
彼「猛反対です……。なぜでしょう?」
私「なぜ?(笑) なぜ、『なぜだ?』と思うの?」
彼「だってボクは必ず成功するんです、わかるんです!……」

 そこから先はよく覚えてないが、翌朝1.8リットル入りの大五郎が半分に。夕方に大家さんが、

「あの子、さっき親が迎えに来て帰っちゃったわよー。私は応援したかったのにー」

 と残念がっていた。

「あの子、目を真っ赤に腫らしてうなだれてたわ……手段はともかく、ありがとうね」

 と大家さんの娘さんからはとても感謝され、お礼にバナナを一房もらった。

 お婆ちゃんの大家さんは夢見る若者が好きだった。ということは、私のコトも彼と同じように見ていたのだろうな。

 去年、気まぐれにアパートの前に行ってみたら、「○○荘」は横文字に、木造2階建てはお洒落なレジデンス風になっていて、思わず笑ってしまった。

 確かめずに立ち去ったけど、お婆ちゃんの大家さんは元気なんだろうか? 建て替えて家賃はいくらになった? まだティッシュ集めてるのかな?

 そもそも大家さんは私の落語聴いたことあったっけかな? どうだったかな?

週刊朝日 2017年2月10日号


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春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。新刊書籍『春風亭一之輔 師いわく』(小学館)絶賛発売中です。人生相談の本です!

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