近年続いた外国の国王譲位に伴う新国王の即位式を見ても、簡素化が進んでいる。例えば2013年のオランダのアレキサンダー国王の即位式は、王冠、王笏(しゃく)、憲法典などを台に置き、宣誓の言葉を述べただけの簡素なものだったが、厳粛で好感がもてた。大嘗祭(だいじょうさい)のありようも含めて国民的議論が必要だろう。

 議論の土俵は永田町に移り、政府・与党側からは「政争の具にするな」と牽制(けんせい)する声が続いている。それを言うなら、与党が野党に歩み寄ることこそ必要で、そうでなければ言う資格はない。世論とのギャップがあるなか、それで黙るなら野党の存在意義がない。

 典範に特例法の根拠規定や付則を置いて、あとは一代限りの特例法で手を打つという、永田町お得意の「足して二で割る」ような着地もちらつくが、わかりにくい小手先では国民総意の着地とは言いがたいだろう。世論とのギャップを埋められるか。

 国会議員の間でも、与党内も含め有識者会議の取り運びに疑問を持ち、「決めるのは国会だ」との声も少なくないようだ。

 大島理森衆院議長ら衆参両院議長副議長の調整と与野党の歩み寄り、真摯な国会審議を期待したい。

週刊朝日  2017年2月10日号