文教協会からカネの流れがあるのは、文教フォーラムだけではない。文教協会は、「文教関係者の相互扶助等事業」として、文科省の退職者などを対象とした保険契約事業も展開している。その業務を担っているのが、保険代理店のX社だ。文教協会の入り口に置かれた保険のパンフレットには、「大好評」の文字とともにX社の名前が書いてあった。実は、A氏は09年に文科省を退職後、X社に顧問として再就職。現在も在職中で、報酬については「A氏本人に聞いてください」(X社)とのことだった。
文教協会が保険事業をスタートさせたのは14年1月。A氏が参与になったのも14年1月で、時期がぴったり合う。
ある官僚OBは言う。
「省庁内だけじゃなく、関連団体も含めると、顔の利く営業先はたくさんある。昔からあるやり方ですよ」
文教協会によると、保険事業はすでに「協会の重要な収入源になっている」。もちろん、それはA氏が顧問を務めるX社の利益にもつながる。
文科省が8年間で1億円以上を注ぎ込んだ文教協会は、天下りエージェントであるA氏と密に手を取り合い、深い関係にあった。点と点を結べば、巧妙なからくりがそこに見て取れないだろうか。27日、A氏に直撃すべく、文教フォーラムを訪れたが不在だった。
同日の衆院予算委員会で松野博一文科相はこう言った。
「文教フォーラムと文教協会の関係についてしっかり調査し、事実関係を明らかにしたい」
天下り問題を追及する玉木雄一郎衆院議員(民進党)は言う。
「これらは税金を官僚に還元させるスキームで、悪質きわまりない。徹底的に調査し、法規制すべきです」
堕落したエリートたちに、この国の教育を任せるわけにはいかない。
※週刊朝日 2017年2月10日号より抜粋