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“嵌められた”東芝 日米原子力同盟の末路

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WHの株式買収完了の記者会見をする東芝の西田厚聡社長(当時)=2006年10月、東芝本社 (c)朝日新聞社

WHの株式買収完了の記者会見をする東芝の西田厚聡社長(当時)=2006年10月、東芝本社 (c)朝日新聞社

 WHが抱えていた隠れ損失2500億円を、昨年に減損処理したばかり。この時は、儲け頭の医療機器部門・東芝メディカルシステムズを売却して埋めた。今度は、命綱たる半導体事業を切り離すことを決めた。

「原発は儲かると思い込んでいた経営者が、道を誤った。海外で原発は極めてリスクの高いビジネスだ」

 格納容器の設計に携わっていた元東芝の技術者、後藤政志さんは言う。9.11同時多発テロ、3.11福島事故を経て、米国では原発の安全基準が厳格化された。耐性の強化や検査の長期化で、コストは膨張した。GEのJ・イメルト会長は「原発を事業として正当化することは、難しくなった」と言っている。

 東芝が買収した2006年、WHは既に問題企業だった。スリーマイル島事故や電力自由化で原発の採算は悪化。WHの親会社は原発部門を英国核燃料会社(BNFL)に売却して撤退した。

 背後に米国の原子力戦略がある。先端技術を握るWHの譲渡先はどこでも、というわけにいかない。BNFLは同盟国の国有企業。そのBNFLもWHの経営再建を果たせず、日米同盟に出番が回った。飛びついたのが東芝だ。東芝はWHの損失を被ることになり、まんまと“嵌められた”。

 欧州ではフランスのアレバ社がフィンランドの原発建設で膨大な損失を出し、経営が行き詰まった。政府の支援を受け、国有化された。ドイツではシーメンスがアレバとの提携を解消し原発から手を引いた。今は再生可能エネルギーへと舵を切っている。「安全」「安い」という原発神話は世界で崩壊している。

 成長戦略に原発輸出を掲げる日本は時代を逆走してはいないか。それどころかWHは中国で原発4基を建設中だ。もめ事が起きたら、東芝はとどめを刺される。

週刊朝日 2017年2月10日号


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