プロゴルファーの丸山茂樹氏が、絶好調のジャスティン・トーマスについて、自らの経験を踏まえながら分析する。

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 自宅のあるロサンゼルスに戻ってきました。例年より気温が低めで、雨の日が多いですね。徐々に体を動かしていこうと思ってます。3月20日ごろ、日本に戻る予定です。

 いやあ、ジャスティン・トーマス(23)=米=の勢いが止まりませんね。ソニー・オープン(1月12~15日、米ハワイ州ホノルルのワイアラエCC)も勝って、2週連続の米PGAツアー優勝。今シーズン3勝目で、ツアー4勝目を飾りました。ここ2試合で計49アンダーですからね。ちょっとビックリです。

 最近の選手はみんなそうですけど、飛距離が尋常じゃないんでゴルフ場が短くて短くて。うらやましいですねえ。ここ2試合のジャスティンは、飛ばした上で、すべてがかみ合ってるという感じですかね。見てると淡々とやってて、曲がってもいるし、何がすごいのか分からなくなってくるんですけどね。

 ソニー・オープンの初日が米ツアー史上2位の59ですか。4日間通算の253はツアー史上最少スコアだったんですってね。ワイアラエはパー70で、アウトとインにパー5が一つずつしかないですから、すごいことですよ。

 僕もアメリカで58で回ったことがありますけど、あれは2000年の全米オープン最終予選でしたから。ツアーとはセッティングが全然違うんでね。ツアーで50台ってのは、やっぱり別格ですよ。

 僕が58で回ったときは、何かもう感覚がなかった感じですね。途中でイーグルがあったのを忘れてて、最後は6メートルぐらいを2パットでも59と思ってたんですよ。最初のパットが外れると、ギャラリーが「オー」と残念がった。なんでかなと思ったら、「入ってたら57だったよー」と言われて、「一つ忘れてた」って気づきました。

 
 ジャスティンはタイガー・ウッズ(41)以来の開幕5戦3勝で、世界ランキングは16年末の22位から8位まで上げてきました。この躍進がどこまで続くのか、楽しみですね。

 米下部ツアーでは強風の中、予選36ホールで32個のボールをなくした選手が出ちゃいました。「ザ・バハマ・グレート・エグズーマ・クラシック」(1月8~11日)です。

 予選の3日間は選手のキャップが飛ばされるような強風だったそうです。24歳のグレッグ・イーソン(英)という選手が91、95の最下位で予選落ち。「ボールを36個持ってきたけど、4個しか残らなかったよ」とコメントして話題になりました。

 風速が最大で毎秒18メートルだったといいますから、よく中止にならなかったもんですね。僕も経験ありますけど、ボールが風で動くようになったら、まず中断してどうするか協議に入ります。18メートルで続行なんて、ツイてなかったですね。予選のカットラインがツアー記録の11オーバーだっていうんだから、すごいや。イーソンは通算42オーバーですからね。

 もしかしたらもう、イーソンは途中から適当にやってたんじゃないですか? 中止になると思って。ハハハ。どうやってもそんなに打たないですよ、普通じゃ。精神的にもキレちゃったんじゃないかなあ。よく棄権しなかったもんです。

週刊朝日 2017年2月3日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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