築地市場を視察した小池知事 (c)朝日新聞社
築地市場を視察した小池知事 (c)朝日新聞社
週刊朝日本誌が入手した都と東ガスの交渉資料(撮影/大野洋介)
週刊朝日本誌が入手した都と東ガスの交渉資料(撮影/大野洋介)

 地下水から環境基準を大きく上回る有害物質が検出された豊洲新市場。移転の可否をめぐり、小池百合子東京都知事のブレーンたちの意見は分裂。移転問題を都議選で争点化するとぶち上げた知事は、その責任を問うべく石原慎太郎元都知事に“宣戦布告”した──。

 小池百合子都知事は1月14日、第4回「希望の塾」の講義に登場し、大ホールをほぼ埋め尽くす塾生を前に、豊洲市場関連経費が約6千億円に膨らんだことを問題視。

「ベンゼン79倍」という衝撃的な豊洲新市場の第9回地下水モニタリングの結果を受け、土壌汚染対策についてこう疑問を呈した。

「849億円も土壌対策にかけている。スカイツリーは650億円、豊島区の区庁舎は520億円ですよ」

 さらに豊洲移転の判断について意味深な発言をした。

「私が(移転問題の)結論を出すわけではありません。こういったことは都民の皆様によく知っていただいて、時には判断に参加していただく。それがこれからの大きな流れになる」

 都議選を住民投票のように位置づけ、小池知事は、豊洲移転問題を夏の都議選の争点にする考えを表明したのである。

 2005年の小泉郵政選挙と同様、豊洲移転ありきの“ドン”こと内田茂氏ら都議会自民党を「守旧派」「抵抗勢力」に見立て、過半数割れに追い込むという狙いも見え隠れする。

 だが、次の都議選で豊洲移転か、築地残留かを問うことについては、小池知事ブレーンの中でも意見が分裂している。

 知事直系の音喜多駿都議でさえ、都議選の争点にするべきではないという立場なのだ。

「都議選で豊洲移転問題が争点になったら嫌ですね。僕は正直なところ、『豊洲移転イエス』だから『ノー』とはなかなか言えない。築地存続は09年だったらできたが、今は無理です。(オリンピック施設問題などでブレーンだった)上山信一特別顧問(慶応大学教授)も『できてしまったから当然豊洲移転でしょう』という立場です。今回の結果が出て築地存続の声が強まるでしょうが、小池知事がどういう判断を下すかです」(音喜多都議)

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