石原:出版のきっかけは?

五百田:末子である僕は、気が合う友達はなぜか末子が多い。編集担当者も末子なんですが、本の構想を相談したら「面白いと思います!」と激しく同意してくれました。もし担当が長子や一人っ子だったら、「どうでしょうねえ」と薄い反応だったかもしれません。

石原:きょうだいとの関係性を強く意識せざるを得ない末子同士だから、わかり合えたんですね。本の表紙では、長子を「きまじめな王様」、中間子を「永遠の思春期」、一人っ子を「マイペースな天才肌」、末子を「したたかなアイドル」としています。胸に手を当てたり、知り合いの顔を浮かべてみたりすると、たしかにそうだと納得できます。

五百田:リサーチしたときや、本が出たあとの反響を見ると、中間子の人が「よくぞ言ってくれた!」という熱い反応をしてくれています。あるセミナーで「中間子の特徴はこうですよね」と言ったら、「私はこれまで人間関係で苦労してきました。周りに気をつかいすぎて疲れてしまうのは、自分が中間子だからだってことがわかって、とても楽になりました」と喜ばれました。ほかのタイプからも、それぞれ「楽になった」という声をもらっています。

石原:「楽になる」は、大事なキーワードですよね。誰しも自分の性格なんてよくわからないし、まして他人のことはさっぱりわからない。だから、必要以上にモヤモヤしたりイライラしたりしてしまう。分類するのは「決めつけ」という批判もあるけど、鵜呑みにするんじゃなくて、自分や他人を理解するきっかけにすればいいわけですからね。

 本にある<4タイプ別「うまくいく」ひとことフレーズ>も、実用的ですね。褒めるとき、叱るときなど八つの項目ごとに、相手に刺さるフレーズを紹介しています。何かを頼むときは、長子には「頼りにしてます」、中間子には「あなたしかいない」、一人っ子には「やり方は任せるよ」、末子には「これが終われば○○だよ」。なぜそうなのかという説明も明快です。部下との関係に悩んでいる管理職の方は、このメソッドを活用してほしいですね。

五百田:会社でのコミュニケーションもですが、50~60代が足元をすくわれがちなのが、夫婦の関係じゃないかと思うんです。長年連れ添っているけどわかり合えない部分というのは、きっとある。「妻は末子だから、こうなのか」と納得できたり、相手にかける言葉を変えたりすることで関係が改善されたら嬉しいですね。

石原:子どもとの接し方の参考にもなりそうですね。この手の分類手法では「血液型」が長く王座に君臨しています。でも、どうひいき目に見ても科学的な根拠なんてない血液型より、因果関係を説明できるきょうだい型のほうが、信憑性も実用性もある。今は誰もが「A型は几帳面」みたいなことを知っていますが、「長子はきまじめな王様」みたいなことが常識になって、日常的に話題にされる日が来るかもしれません。早めに「きょうだい型」の基本を押さえておくと、「ああ、あれね。俺は前から知ってたよ」と威張れそうです。

五百田:ぜひそうなってほしいし、ぜひ威張っていただきたいですね。

石原:「打倒、血液型!」ってことで、さらにどんどん広めてください。

五百田:みなさんの力をお借りしながら、全力でがんばります。……ん? いまのは末子っぽい他力本願じゃなくて、えっと……。

石原:末子っぽい慌てっぷりとフォロー、ありがとうございます。

週刊朝日 2017年1月20日号