田原総一朗「『トランプ化』していく世界と、私は命をかけて戦う」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「『トランプ化』していく世界と、私は命をかけて戦う」

連載「ギロン堂」

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田原総一朗氏は米国でも欧州でもゆとりがなくなり、「力による平和」などという言葉が登場している現状を危惧する (※写真はイメージ)

田原総一朗氏は米国でも欧州でもゆとりがなくなり、「力による平和」などという言葉が登場している現状を危惧する (※写真はイメージ)

 ソ連邦が崩壊した翌1992年、米国の政治学者フランシス・フクヤマ氏が『歴史の終わり』という本を刊行した。共産主義が可能性を持っていた時代は終わり、民主主義を基盤にした自由主義経済、いわば資本主義の時代になるという論だ。明るい未来への期待が高まっていた。

 だがフランスの経済学者トマ・ピケティ氏は、ソ連崩壊こそが現在の大混乱のきっかけだと指摘する。

 ピケティ氏は第1次、第2次世界大戦が格差のない、平等な世界をつくったという。多くの人間たちを戦争に動員するため、平等な社会をつくらざるを得なかったというのだ。東西冷戦の時代になると、西側諸国の政治家や経営者たちは共産主義への不安を抱き、労働者や労働組合を大事にした。だからあまり格差は生じなかったというのである。

 だがソ連が崩壊すると、政治家も経営者も安心して競争至上主義、いわば新自由主義を導入し、ヒト・モノ・カネが国境を越えるようになった。グローバリゼーションである。その破綻が米国でも欧州でも明らかになった。そのために国民は追い詰められているのだ。

 民主主義とは多数決ではなく、自分と異なる意見を認めること、少数意見も尊重することである。だが、米国でも欧州でもゆとりがなくなり、「力による平和」などという言葉が登場している。力による荒っぽい時代になりそうだ。今年こそ、生命をかけて民主主義の重要さを訴えなくてはならない、と考えている。

週刊朝日 2017年1月20日号


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田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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