ミッツ・マングローブ「祈るより消費! それがオシャレなクリスマス」

連載「アイドルを性せ!」

 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、クリスマスと歌手の関係について。

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 クリスマス。意外と思われるかもしれませんが、私、結構好きなんです。とは言っても、イブに恋人とホテルへ行くとか、みんなで楽しくパーティ的なザ・クリスマスを満喫した経験はほぼありません。芸能・サービス業というのは、基本『与える側』であり、世の中が気分を高めるための手がかりみたいなものです。サンタの格好でショーをしたり、クリスマスソングを歌ったり、来店した客にケーキを振る舞ったり、大なり小なり自分自身が季節やイベントの一部となり、それによって世間が「ああ、クリスマスだな」と感じ入ってくれれば「毎度あり!」なのです。

 クリスマスというのは、他のどの年中行事よりもエンタテイメント性に富んでいる上に、平和と殺伐が同じ分量存在しているので、様々なスタンスを取ることができます。桜やハロウィンでやさぐれていても画になりませんが、クリスマスにはそんな否定的な感情すら内包できてしまうケバさがある。無礼講や無節操にも奥ゆかしさがあって、人間のいじらしさが見える。だから好きなのかもしれません。

 そして街にはクリスマスソングが流れます。欧米ではクリスマス週のヒットチャートを巡って、かなり明白(あからさま)な取引も行われるぐらい、世界中の音楽業界にとってクリスマスは最も大きな鉱脈です。毎年あらゆるアーティストたちによるあの手この手のクリスマスソングが世に送られます。単独でクリスマスアルバムをリリースできれば、それは一大ステータス。アイドルの証しでもあるわけです。景気の良かった時代には、日本の音楽シーンでもそのような需要と供給が乱立していました。

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