しかも「頭脳」部分は本体内ではなくインターネット上の空間「クラウド」にあるため、アップデートされ“進化”していく。シャープIoT通信事業本部の広報はこう説明する。

「将来的には『◯◯が欲しい』と言えばネット上の通販サイトで注文してくれるなどの機能も追加していく予定。単に利便性を追求するだけでなく、コミュニケーションを楽しめるのも魅力です。持ち主の嗜好を学習していき、一歩先の提案をしてくれるようになる。本体を買い替えても『頭脳』は引き継げるので、家族の一員のように愛着を持って長く使っていただくことを期待しています」

 友達のように会話でき、持ち主を助けてくれる。まるで「ドラえもん」のような家電製品が生まれる日も近いのかもしれない。

 家電ジャーナリストの安蔵靖志氏がこう語る。

「かつてソニーが『AIBO』をヒットさせたように、日本人は機械を擬人化、キャラクター化する路線が得意。シャープの方向性には活路があるかもしれません。16年にはシャープが台湾の鴻海に、東芝の白物家電事業が中国のマイディア・グループに買収されましたが、これまで保守的だった日本の家電メーカーに中国系のベンチャー精神とスピード感が加わることで、活力が増すことも期待できます」

 ピンチをチャンスに変えれば、日本のモノづくりにも活路は開けるのだ。

週刊朝日 2017年1月6-13日号