例えば、基地反対運動のリーダーで、沖縄平和運動センターの山城博治議長(傷害罪などで起訴)が10月に逮捕されてから2カ月以上勾留が続くが、海外の識者も「人権蹂躙(じゅうりん)が目に余る」と早期釈放を求める声明を出した。

「傷害罪も沖縄防衛局職員と揉み合いになって転んだだけ。ヘイトスピーチに対してカウンター活動をしていた男性も一緒に逮捕され、狙い撃ちは明らかです」(同)

 さらに、山城議長は11月に威力業務妨害容疑で再逮捕。1月にキャンプ・シュワブのゲート前にブロックを積み上げて工事車両の搬入を妨害したという理由だ。

「現行犯逮捕ではなく、なぜいまなのか。工事を強行するため反対派のリーダーを強引に拘束し、運動を封じようとしている」(同)

 沖縄ではすでに米軍基地をめぐる保守と革新の対立の構図が変わってきている。翁長知事はもともと保守派の政治家だ。政府の沖縄差別の構造があらわになるにつれ、県民以外も当事者意識を持つようになっている。

「本土からの支援も、労組などの動員ではなく、ごく普通の市民が次々と参加しています。実際に現地に足を運べなくても、潜在的な支援者はもっと多く存在するはずです。危機感を募らせているのは政府のほうです」(同)

 沖縄は希望を失っていない。

週刊朝日 2017年1月6-13日号