田原総一朗「『がっかり』日ロ首脳会談の先にある日米中ロの新関係」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「『がっかり』日ロ首脳会談の先にある日米中ロの新関係」

連載「ギロン堂」

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北方領土問題が進展しなかったせいでトランプ新大統領の方針にも関わってくると指摘する田原総一朗氏 (c)朝日新聞社

北方領土問題が進展しなかったせいでトランプ新大統領の方針にも関わってくると指摘する田原総一朗氏 (c)朝日新聞社

 確かに、プーチン大統領は来日前の読売新聞と日本テレビのインタビューでも「どちらの主権で、どんな条件で引き渡されるか明記されていない」と述べていた。日本側は2島が引き渡されれば主権も日本に移ると考えているので、齟齬は大きいわけだ。

 プーチン氏は16日の記者会見で、極東地域のロシア軍基地の重要性を強調し「この点で日米安保条約がどのような立場をとるのか、ロシア側の懸念に考慮してほしい」と述べている。つまり、2島を返還したら島は日米安保の範囲に入り、米軍が活動する可能性があると心配しているのだ。冷戦は終わったが、米ロはシリア、ウクライナなどで敵対関係にある。2島を日米安保条約の適用外とすることなどできるだろうか。

 だが、日ロ関係に詳しい鈴木宗男氏は、日米安保が交渉の障壁というのは「浅い見方」だと言う。鈴木氏に言わせると、オバマ氏とプーチン氏の関係は最悪だが、トランプ新大統領はプーチン氏と厚い親交のあるレックス・ティラーソン氏を国務長官に指名した。大統領補佐官となるマイケル・フリン氏も親ロ派で、プーチン氏を高く評価している。その一方で、トランプ氏は台湾の総統と電話協議し、「中国を一つとしてとらえるかどうかは中国次第だ」などと、中国側を刺激する言動を繰り返している。新組織「国家通商会議」のトップには対中強硬派のピーター・ナバロ氏をあてると発表した。

 鈴木氏はトランプとプーチンが対中戦略で腕を組み、安倍首相がその間に入るという構図を示すのだが、そんなことが山口県の温泉旅館で話し合われたのだろうか。

週刊朝日  2017年1月6-13日号


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田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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