北原みのり「セクシュアリティの暴露」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

北原みのり「セクシュアリティの暴露」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

成宮寛貴(c)朝日新聞社

成宮寛貴(c)朝日新聞社

 先日、台湾の女性政治家、彭婉如(ペイワンルゥ)について、聞く機会があった。1996年、台湾では女性の政治家を4分の1にする運動が盛り上がった。その先頭で闘ったのが、蔡英文総統と同じDPP(民主進歩党)の政治家であり、フェミニストの彭婉如だった。彼女は、法案が立法院で可決される前に行方不明になり、レイプされ殺された。遺体には30カ所も刺された痕があったという。47歳だった(犯人は未だに逮捕されていない)。

 彭婉如の死は、当時の台湾社会に激しい衝撃をもたらしたという。その後、彼女の死を無駄にしないという人々の思いは、ジェンダー教育に力を入れ、性差別のない社会を目指す運動を盛り上げていった。2016年、台湾は女性総統を生み、総統府の前に25万人もの人々が同性婚を求めて集まるような社会になった。人々が自らの手で、そのような社会をつくったのだ。

 成宮さんに新幹線の中で、荷物を持ってもらったことのある知人がいる。重たい荷物を抱えよろめいていた彼女に、すっと手を差し伸べた。困っている人に自然に声をかけられる優しい人、という印象が私にはある。

 成宮さんにはどうか立ち直ってほしい。そして、成宮さんの報道に傷ついた人たちが、もうこんなことで傷つかないよう、台湾に見習いたいものだと思う。このままじゃ、日本は世界から取り残されていくだけ。

週刊朝日 2016年12月30日号


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい