デスクと記者も坂詰真二さんの指南を受けた(撮影/写真部・松永卓也)
デスクと記者も坂詰真二さんの指南を受けた(撮影/写真部・松永卓也)

 体の柔軟性を高めるエクササイズとして、多くの人が日常的に取り入れているストレッチ。だが、ただやみくもに行っても効果が上がらないどころか、体を痛めてしまう危険性もある。「やってはいけない」ストレッチとは? 

 記者は毎日、寝る前に簡単なストレッチをするのが習慣だが、最近どうも首や肩周りの凝りが取れにくい。「宵越しの疲れは極力残さない」のが信条、それもまだ31歳と若いはずなのに……。そこで「自己流ストレッチを見直してみよう」と専門家に取材した。(以下、間違ったストレッチには【×】をつけた)

 まずは自律神経研究の第一人者として、国内外問わず数多くのスポーツ選手らをサポートしている小林弘幸さん(順天堂大学医学部教授)に、ストレッチの基本について聞いてみた。

「ストレッチには大原則が五つあります。最初に【×】痛みを感じるまで伸ばすのはダメ。痛みを感じると、反射的に筋肉が収縮してしまい、伸びてくれません。もちろん、体に痛みがあるときのストレッチも禁物です」

 痛いところまで伸ばしてこそ効果があると思っていたのに……。

「それだけじゃありません。いくら伸びを感じるからといって、【×】一つのポーズを長く続けるのもダメ。筋肉に負荷がかかってしまいます。1ポーズ30秒以内が原則です」

 テレビを見ながら、同じポーズを3分ほど保っては満足していた自分は一体何だったのか。

「それと重要なのは、呼吸。とにかくゆっくり吸って、ゆっくり吐くこと。目安は鼻で4秒吸うのに対して、口をすぼめて8秒かけて吐くリズム。この呼吸を意識すれば、血流が体中にいきわたり、多くの悩み改善につながります」

 呼吸なんて全く意識していなかったが、やってみると自然とリラックスでき、いつもより伸びが良いような気がする。

「これに加えて、指先など体の末端を意識すると、ぐっと効果が高まります」

 末端を意識した代表的なポーズは、頭上に腕を伸ばして手を組み、全身を伸ばしながら前と左右に体を倒してまわすもの。すると上半身の筋肉の多くが一気にほぐれるという。

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