レースのソックスにサンダル履きで少女趣味の残るB子さんは、王子様の出現を期待しているようだ。年齢が増すごとに条件のハードルが低くなると思っていたが、若い時と変わらず、高いままらしい。だから中高年の婚活は大変なのだろうか。

 地元では相手探しが難しいと思った酒井さん(69・電気技術士)の場合、東京の懇親会でようやく巡り合えた。太陽の会に14年間在籍し、何人かの女性とおつき合いしたが、成婚まで至らなかった。脱会を考えていたところ、お試し体験参加の看護師の敬子さん(49)と出会った。

「これまでは、体験で40代の女性が来ても入会したことがなかったんです。ところが1カ月後、『申し込みがあったよ』って連絡があったんです」

 顔のつくりも体も丸い酒井さんが、うれしそうに途切れることなく話す。

 初デートの日、午前10時半から新宿で4軒の喫茶店をはしごして、夕方になると居酒屋へ。終電の時間まで、途切れることなく会話が弾んだ。

 敬子さんが「私の子供たちに会ってちょうだい」と言ったのは、3回目のデートの時だった。「あっ、おれ、まだそこまで……」と、焦った酒井さんだったが、20歳年下の女性にどんどん引かれていった。敬子さんは45歳で公務員のDV夫と離婚した。長男と長女が大学生、次女が高校生だった。

「仕事は忙しいけど、無性に寂しくなる時があるんです。人間はどう生きて、どう死んでいくか、仕事柄とても大事なことだと感じていました。独身の看護師が多いんですが、同じ職場の人に太陽の会を勧められて、体験で行ってみたんです。そうしたら大仏さんみたいな彼に出会って……」

 おとなしそうだが、しっかり者の敬子さんの薬指には、ダイヤの指輪が光っていた。

 同い年の妻と49歳の時に死別した酒井さんは、14年前、夕刊紙の中高年婚活特集で太陽の会を見つけた。高校生だった一人息子に相談すると、「行ってこいよ」と、快く賛成してくれた。ところが、相手探しより会の手伝いが楽しくなり、10年が経ってしまった。

「60代はまだ若いんです。80代の女性もいて、こんなに人生を楽しんでるんだって、驚きました」

 と、敬子さんは色白の顔をほころばせる。

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