「この作品を書いているときは楽しくて仕方がなかったのは間違いない。私は遅いデビューだったので、これからの人生を考えながら仕事をしています。中央集権的なものを地方の側からの目で見て小説を書いていきたいと思っています」

「歴史小説は基本的にはノンフィクションの要素が濃い分野だと思います。しかし、私は昔記者をしていましたが、事実を積み重ねても『真実』に到達できないと思うことが多かった。そういう意味でも史実にどれだけフィクションを重ねられるかということを心がけています」

 司馬賞贈賞式は来年2月18日、NHK大阪ホール(大阪市)で開催される第21回菜の花忌シンポジウムで。葉室さんは、受賞者スピーチのほかにシンポジウム「『関ケ原』──司馬遼太郎の視点」にもパネリストとして参加する予定だ。

週刊朝日 2016年12月16日号