田原総一朗「失敗作『もんじゅ』の後継炉開発に『ちょっと待った!』」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「失敗作『もんじゅ』の後継炉開発に『ちょっと待った!』」

連載「ギロン堂」

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高速増殖原型炉「もんじゅ」への政府の対応に、「許されない」と憤る田原総一朗 (c)朝日新聞社

高速増殖原型炉「もんじゅ」への政府の対応に、「許されない」と憤る田原総一朗 (c)朝日新聞社

 野田首相は、原発は30年代ですべてやめる、「もんじゅ」は実用化を断念する、大間原発の建設もしないという計画を打ち出し、そのことを9月19日に閣議決定することを目指したが、結局、何一つ閣議決定できなかった。

 その理由の一つは、六ケ所村に再処理施設がある青森県が「再処理を認めないのならば、施設で保管している使用済み核燃料を、すべて全国の原子力発電所に送り返す」と言いだしたことだ。これには野田内閣は非常に困惑した。使用済み核燃料を送り返されたら、どの原発でも保管のしようがないからだ。

 結局、野田内閣は六ケ所村での使用済み核燃料の再処理を認め、青森県の怒りを抑えるために大間原発の建設も認めたのである。

 私は今回、政府が新たに高速炉開発を決めた要因の一つも同じではないかと考える。「もんじゅ」を廃炉にすれば六ケ所村で使用済み核燃料を再処理する理由がなくなる。それによって、また全国の原発に使用済み核燃料を送り返すという話になるのを避けたかったのではないか。

 もう一つ、厄介者の「もんじゅ」に長年、つき合ってくれた福井県への配慮もあるのではないか。福井県の西川一誠知事は11月25日に、文科、経産の両大臣に「地元は積極的に協力してきた。あやふやな形で店じまいをするようでは困る」と苦言を呈している。

 だが、高速炉開発は米国も英国もやめてしまった。政府が頼りにしているフランスの「ASTRID」計画も、仏政府は数年後に建設の是非を決めると言っている段階である。

 疑問だらけの高速炉開発を、お手盛りの会議で決めて莫大な税金をつぎ込むのは許されない。

週刊朝日 2016年12月16日号


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田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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