「ミャンマーの仏」(2016年/水彩45×32.5cm)
「ミャンマーの仏」(2016年/水彩45×32.5cm)
「ポッパ山遠望」(2016年/水彩41×29.7cm)
「ポッパ山遠望」(2016年/水彩41×29.7cm)
旧首都ヤンゴンにあるシュエダゴン・パヤー(パゴダ)で。堀越さんにとってミャンマーで見たものはどれも新鮮で、かつ金ピカの寺院をはじめ刺激的なものばかりであった。「10年後は、もうこの風景はないかもしれないね」。移動中の車の中で町の風景を見ながらそうつぶやいたそうだ
旧首都ヤンゴンにあるシュエダゴン・パヤー(パゴダ)で。堀越さんにとってミャンマーで見たものはどれも新鮮で、かつ金ピカの寺院をはじめ刺激的なものばかりであった。「10年後は、もうこの風景はないかもしれないね」。移動中の車の中で町の風景を見ながらそうつぶやいたそうだ
現地の人に倣い、お水をかける。仏にも似て、とても穏やかな顔をしている。何を願ったのだろうか
現地の人に倣い、お水をかける。仏にも似て、とても穏やかな顔をしている。何を願ったのだろうか

 本誌で「美を見て死ね」を連載し、10月31日に死去した画家の堀越千秋さんが闘病中に描いたミャンマーをテーマにした作品展が、東京都千代田区の麹町コレクションで12月5~17日に開かれる。

 2014年12月、堀越さんは、民主化により大きく発展しつつあるミャンマーに、失われゆく原風景を描きたいと旅立った。そこで目に映るものを次々とスケッチし、特に仏陀には特別の関心を抱いた。

「仏陀を、単なる絵の題材として見ているのではなく、そこに救いを求めているようでもありました」

 同行した麹町コレクションの小澤龍子さんはそう振り返る。

 堀越さん自身は、仏陀に出会った感想を本誌にこう書いている。

「ふと僕も立ったまま合掌してみると、あな不思議! すうッと周囲にぬるま湯のようなものが来て、背中から包み込まれるのを感じた」

 独特の色遣いの仏陀は慈悲深く、見る者を安らかな気持ちにさせてくれるものばかりである。堀越さんがミャンマーで出会った仏陀の心に触れてみてはいかがだろうか。

週刊朝日 2016年12月9日号