と香山氏は憂慮する。犯罪心理学に詳しい桐生正幸東洋大学教授は、別の視点から一連の事件を分析する。

「アダルトビデオが影響しているのでは」

 どういうことか。

「男性優位の社会のあり方が変わってきている中で、AVは男性優位のものが多い。女性をモノのように扱い、そこには女性に対する配慮がまったくない。スマホの普及で、より手軽にこうしたコンテンツに触れることができるようになっており、自制心が弱く、相手に対する共感力がない若者が犯行に及んでいると思われます」(桐生教授)

 懸念されるのは、今後、このような人間が医師になること。事件を起こしても医師免許を取得できるのか、医師国家試験を所管する厚生労働省に尋ねてみた。

「新規に医師免許を取る際、罰金以上の刑に処せられた人については、医師免許を与えないことがある、という規定があります。反対にいうと、与えることもあります。申請時に、略式命令書や判決謄本、本人の反省文、罰金を払ったのであればその領収書を出してもらい、内部で検討して、判断します」

 今回のような性犯罪の場合、事件化しても、裁判で被害状況が公になることに耐えられず、女性側が被害届を取り下げて示談になるケースも少なくない。

 千葉大は事件発覚後、調査委員会を設置。処分を含めて大学側の対応も注目されている。

週刊朝日 2016年12月9日号