津田大介「プロパガンダが大手を振る時代こそ」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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津田大介「プロパガンダが大手を振る時代こそ」

連載「ウェブの見方 紙の味方」

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週刊朝日#津田大介
米国次期政権の重要ポストに、ネットメディアの運営責任者が就くことの危険性を指摘(※写真はイメージ)

米国次期政権の重要ポストに、ネットメディアの運営責任者が就くことの危険性を指摘(※写真はイメージ)

 かねてより筆者はネットで起きる「炎上」とは、義憤に燃えた人と、愉快犯と、ビジネスとして煽(あお)るメディアの三者が自然とネット上でコラボレーションすることで起きる現象だと説明しているが、トランプの大統領選挙でも同じ構図が見て取れる。

 テレビや新聞などがトランプ不支持を表明しても、トランプはそれすら「悪名は無名に勝る」とばかりに極端な発言を続け、フォロワーが1500万人を超える自らのツイッターや、ブライトバートなどを通じて自らの主張を続けた。既存メディアはトランプの発言やツイッター、ブライトバート記事の事実誤認やデマを指摘したが、そうした情報はほとんどネットで流通しなかった。今回の大統領選が示したのは、流された情報が「正しいかどうか」はソーシャルメディア上ではあまり顧みられないということだ。重要なのは情報の正否よりも、それが拡散するかどうか、扇情的な情報であるかどうかにかかっている。トランプは大統領になってもツイッターを継続する宣言をしている。世論を形成する上で十分な力になっていると感じているのだろう。

 トランプは選挙戦で「テレビや新聞はうそばかり報道する」と既存メディアを攻撃した。多くの支持者がそれに同調したのは、マスメディアがこれまでネットを下に見てきたことと無関係ではないだろう。事実に重きを置く社会から、プロパガンダが大手を振る時代に変わろうとしている。メディアによってそれが引き起こされているのなら、それを止めることができるのもメディアであるはずだ。ジャーナリズムには踏ん張ってほしい。

週刊朝日 2016月12月2日号


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津田大介

津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『情報戦争を生き抜く』(朝日新書)

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