資産家人脈でブランド向上…慶応に同族企業社長が目立つワケ(※写真はイメージ)
資産家人脈でブランド向上…慶応に同族企業社長が目立つワケ(※写真はイメージ)

「サラリーマンとして生きていくならば、やはり慶応卒が強いですよ。慶応の人はとにかく、集まることが好きで楽しそう。学友のネットワーク力が、すごい」

 有名国立大卒で大手商社勤務の40代社員は、こう話す。社内には慶応OBの集まり「三田会」があり、なかでも体育会系出身の結びつきが強い。かつて赴任した海外都市でも、駐在員らによる企業横断の三田会があるのに驚いたという。

 そんな慶応のつながりを、早大出身者はどうみるか。早大卒の50代会社員は「会った際に出身大学を尋ねてくる人は、慶応卒が多い。同窓というだけで親しくなり、大人数で一体感の薄い早稲田とは対照的」と話す。

 ネットワーク力が目立つからか、慶応出身の社長が続く会社は脚光を浴びる。

 丸紅は國分文也社長(75年慶大経)まで、慶応出身者が3人連続で10年以上トップを務める。同社広報部は「出身校で社長が決まることはありません」というが、常務以上の役員6人のうち、4人が慶応卒で2人が一橋大卒。キリンHDも、磯崎功典社長(77年慶大経)まで3人連続で慶応卒がトップだ。

 慶大卒と早大卒の役員が多い主な会社を、「役員四季報2017年版」(東洋経済新報社)をもとに調べた。中西勝則頭取(76年慶大商)の静岡銀行など、トップ、役員ともに慶大卒が多い企業がある。

 一方で、フジテレビなどを持つフジ・メディア・HDは、嘉納修治社長(72年慶大経)ら慶大OBが7人に対し、早大OBが9人。同社は、日枝久会長(61年早大教育)が30年近く、社長・会長としてかじ取りを続ける。

 慶応卒は同族企業トップの顔ぶれが目立つ。大正製薬HDの上原明社長(66年慶大経)、カシオ計算機の樫尾和宏社長(91年慶大理工)、日清食品HDの安藤宏基社長(71年慶大商)らだ。

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