4月からの家庭向け電力自由化の流れに乗り、約50万件の契約を獲得した東京ガス。広瀬道明社長(74年早大政経)は、2020年度をめどとした100万件の達成目標を17年度中に前倒しする考えだ。

 一方で、月岡隆社長(75年慶大法)の出光興産はガソリンの販売が約3%減った。生き残りのために決めた昭和シェル石油との経営統合は、創業家の反発で不透明となった。ガス・石油などエネルギー業界は早大陣営が輝いている。

 鉄道業界をみると、早大陣営は首都圏に東京急行電鉄、京阪神に阪急阪神HD、中部圏に名古屋鉄道と各地に主要私鉄を抱える。

 3社ともに業績は好調で、大学とのかかわりの面でもそれぞれ特徴的な企業が多い。

 名鉄は安藤隆司社長(78年早大商)をはじめ、役員の7人が早大卒。野本弘文社長(71年早大理工)の東急は沿線に慶大がある。最寄りの日吉駅(横浜市)から電車で約20分、東京都内の二子玉川駅前のビル開発などが好調で、乗客も増えている。

 慶応陣営の相鉄HD、富士急行、南海電気鉄道の業績も観光客増加などで堅調だったが、売上高や利益など規模の面では早大陣営が大きく上回る。私鉄の対決は、早大陣営に軍配があがりそうだ。

 圧倒的な規模を誇るオール慶応に対し、オール早稲田にもきらりと輝く企業は数多い。

 今回集計対象とした3月期決算の企業以外でも、早大陣営には、柳井正社長(71年早大政経)のファーストリテイリング、出澤剛社長(96年早大政経)のLINEなど、ユニークな企業がある。

“在野の精神”を発揮し、産業界でも早大らしさを発揮する企業は、今後も出てきそうだ。

週刊朝日 2016年12月2日号