「南シナ海進出の最大の理由は海底資源ではありません。米国に核ミサイルが届く原潜の基地にすること。中国がこの手段を持てば、米国は被弾を恐れ、中国に核を撃てなくなる。すなわち、日本を覆う米国の『核の傘』はなくなることを意味します」(同)

 藤井氏は、この最悪のシナリオは避けられても、何らかの変化が訪れるのは間違いないとみる。

「力の均衡が崩れたときにどうやってそれを維持するか。日米とも20~30年間放っておいた“宿題”の提出を迫られています」

 これらのシナリオは日本にとって「不都合な真実」だが、選挙パフォーマンスと捉えられてきたトランプ発言と符合する。政権の全貌が見えたとき、現状の期待感は、から騒ぎの「トランプバブル」となって消えてしまうのかもしれない。

週刊朝日 2016年12月2日号