破壊されたISの戦闘トラックの上にある遺体の顔を見ると、まだ少年だった。

「モスルに住んでいた子供がISに教育され、戦闘員にされたのでしょうね」

 バルテラの町では、ISがつくった地下トンネルを見つけた。電気が引かれ、複数の扇風機があった。狙撃兵はこうしたトンネルに潜んでいたと思われる。

 翌27日、常岡さんはISのキーホルダーを所持していたことで政府軍側にスパイ容疑をかけられて拘束され、取材はここで諦めざるを得なかった。

 そもそも常岡さんは、シリアで過激派組織に拘束されていると見られるジャーナリストの安田純平さんに関する情報を得るため、ウクライナに滞在していた。そのタイミングでモスル奪還作戦が始まり、急きょ取材に向かったという。

 奇しくも、米国ではトランプ氏が次期大統領に決まった。同氏は、シリアのアサド政権と、それを支援するロシアのプーチン大統領と協力体制を組むと主張している。米国のトランプ政権の誕生で、安田さんの安否に影響はあるのか。

「トランプ氏の発言は、米国がアサド政権による一般市民攻撃を止めるつもりがないということ。シリアでは、5年間の内戦で最大50万人が犠牲になったと推測されているが、次の4年間でその何倍もの人が亡くなる可能性がある。安田さんが巻き込まれる可能性も否定できません」

週刊朝日 2016年11月25日号