11月8日に帰国したジャーナリストの常岡浩介さん(47)が、ISとイラク軍政府などの戦争が続く地域の様子を振り返る (※写真はイメージ)
11月8日に帰国したジャーナリストの常岡浩介さん(47)が、ISとイラク軍政府などの戦争が続く地域の様子を振り返る (※写真はイメージ)

 過激派組織「イスラム国」(IS)とイラク政府軍などの戦闘が続くイラク北部でクルド自治政府当局に拘束され、11月8日に帰国したジャーナリストの常岡浩介さん(47)は、前線の様子をこう振り返る。

「10月17日に始まったイラク政府軍などによる『モスル奪還作戦』以降、政府軍は日に三つ、四つとISが支配していた村や町を制圧しています。私が取材した激戦地バシカでは、クルドの治安部隊が多連装ロケットを撃ち込みIS側を攻撃していた。しかし、要塞化した町でISの狙撃兵に苦しめられ、クルド兵士が次々に撃たれた。私の取材を取り計らったクルド人も撃たれて頭部にけがを負った。バシカは、いまも戦闘状態だと聞いています」

 人口150万の都市モスルはシリアのラッカと並ぶISの2大重要拠点。政府軍は10月末にはモスルに進攻し、年内の奪還を目指している。

 常岡さんは10月26日、モスル近隣の町、バルテラに入った。政府軍が制圧し、ISが逃げ去った後だった。

「民家の壁にはそれぞれ、イスラム教のスンニ派、シーア派、キリスト教と宗派を示す文字がペンキで書かれ、ISが敵対視する後者2派の民家はおそらくISによって、略奪されたり焼き払われたりしていた」

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