ところで本誌14年4月18日号で、この秘蔵画発見を伝えている。記事に、〈動物を擬人化した春画などがたくさんあったというが、「卑猥すぎる」という理由で非公開。ザンネン!〉と書かれていたものの一部が、今回初公開された。
当時本誌で取材した記者は言う。
「美しい描写だなと感じるいっぽうで、見ちゃいけないものなんじゃないかというドキドキ感もある。まさに“手塚さんワールド”だと思いました」
と振り返る。貴重な資料であるものの、「お宝」というよりもっと身近な扱いだったことが印象的だったという。
作家の筒井康隆さんは、「新潮」誌上で、手塚さんが内緒で「あぶな絵」を描いているという噂があったことを紹介し、ついにこの目で見たその絵は過激というのではなく、「上品で可愛」かったと書いていた。
手塚作品の新たな魅力の再発見につながるかもしれない。
※週刊朝日 2016年11月25日号