小泉純一郎氏と小池百合子氏 (c)朝日新聞社
小泉純一郎氏と小池百合子氏 (c)朝日新聞社

 出身政党を敵にして戦う点や、ポピュリストを演じながら緻密な計算ができるという点、メディアを利用したパフォーマンスなど、数々の共通点がある小池百合子東京都知事とドナルド・トランプ氏。ジャーナリストの田原総一朗氏は、小池氏が日本のトランプになる──そんな日が来るかもしれないというが、どれほど現実的なのか。

 小池氏が今後、大化けする“起爆剤”となりそうなのが、新党だ。一時は「雪解け」かと思われた自民党との関係が、ここに来て不穏になってきている。

 火種となっているのは、東京都知事選で小池氏を応援した豊島区、練馬区の「7人の侍」の処遇だ。

 処分期限が迫った10月末、自民党の二階俊博幹事長が7人を食事会に誘って仲裁に乗り出したが、小池氏から断られ、二階氏はさじを投げてしまった。

 ところで、自民党都連関係者によれば、党の方針に反した7人ではなく、小池氏の地元で党の方針に従った12人の区議を逆に「12人の侍」と呼んでいるという。

「結局、二階さんの昼の食事会は中止し、夜の食事会は二階さんと『12人の侍』とでやりました。みな喜んで参加したそうですよ」(自民党都連関係者)

 7人と12人の溝は、10月23日に行われ若狭勝氏が勝利した衆院東京10区補選でも表面化した。

「選挙は『7人の侍』が仕切りました。『12人の侍』には日程も渡さないし、集まりにも呼ばない。選挙カーにも乗せないから、党本部から宣伝カーを出して、若狭さんの応援をさせ、かえって険悪な雰囲気になってしまったのです。もし、除名処分が下されると、小池さんとしては待ってましたとなる。そう見えないように、自民党都連らは7人の侍の金銭スキャンダル探しに躍起になっています。小池さんの件だけで処分したのではないという建前を作りたいのです」(同)

 一触即発の雰囲気の中、自民党幹部は心配する。

「都議出身で内田(茂)“ドン”と近い萩生田(光一)官房副長官、下村(博文)都連会長らが7人の処分を強く主張しています。もし、7人を除名すれば、小池さんに新党を立ち上げる大義を与えてしまう。そうなれば、自民党が分裂してできた大阪維新の二の舞いとなる。次の衆院選挙で自民党が東京、大阪など都市部で弱体化してしまう」

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