人気ナンバーワンのミシェル夫人。4年後に向けてどう動くのか (c)朝日新聞社
人気ナンバーワンのミシェル夫人。4年後に向けてどう動くのか (c)朝日新聞社

 行政経験ゼロで、軍歴もない初の米国大統領となるドナルド・トランプ氏。その手腕は未知数で、早くも政権運営を不安視する声が次々にあがっている。

 元ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラー氏も言う。

「過激な言動と実現不可能な公約で大統領になったトランプ氏は、支持者の期待が大きい。そのぶん、失敗すればあっという間に批判が高まり、政権運営が行き詰まる危険性があります」

 それを見越して反トランプ派は、早くも“ポスト・トランプ”に向けて動き始めている。ツイッターでは、2020年の大統領選に向けて、オバマ米大統領夫人のミシェル氏を大統領候補に推す「ミシェル2020」というハッシュタグ(投稿を検索しやすくするための目印)が立ち上がった。「あなたが必要なの!」など、ラブコールが相次ぐ。

 だが、ミシェル氏はこれまでも繰り返し政治家への転身を否定。ミシェル待望論にはオバマ氏も、

「人生にはたしかなことが三つある。『死』『税金』、それからミシェルが大統領選に出ないこと」

 と過去にジョークにしていたほどで、可能性は低い。

 では、本命は誰か。ファクラー氏は2人の女性政治家の名前をあげた。

「元ハーバード大学教授のエリザベス・ウォーレン上院議員(67)は、すでに次期大統領選への準備を始めています。彼女は、大統領候補者を選ぶ民主党の予備選で公立大学の授業料無償化を訴えたバーニー・サンダース氏の考えに近く、現実的な進歩派。カーステン・ギリブランド上院議員(49)も有力です」

 いずれも「ガラスの天井」を破ることのできる、リベラル系の実力派議員だ。ただ、ポスト・トランプがリベラル政権になるとは限らない。軍事評論家の田岡俊次氏は言う。

「トランプ政権は、既存の政党、連邦政府、財界、学界、メディアなどの権威を庶民が破壊して生まれた“右翼革命政権”。それが失敗すれば、トランプ氏以上に過激で排他主義的な人物が、次の大統領になるかもしれません」

 そのとき、世界はさらなる混乱に巻き込まれる。

週刊朝日 2016年11月25日号