“暴君”という声もあるが外交手腕はピカイチ (c)朝日新聞社
“暴君”という声もあるが外交手腕はピカイチ (c)朝日新聞社

 11月9日に米大統領選で勝利したドナルド・トランプ氏。品格、人格がないのはドゥテルテ比大統領とそっくりだが、外交手腕は日本をしのぐ?

 トランプ氏は、プーチン大統領と馬が合うだけでなく、東アジアの暴言王フィリピンのドゥテルテ大統領とよく似ているという指摘がある。沖縄国際大学の前泊博盛教授だ。

「両者に共通するのは、品格、人格はなく、物事を損得で考えるところです」

 と指摘する。しかし、両者とも、日本の政治家にはまったくない才能の持ち主だと見ている。

「ドゥテルテ大統領はストレートに発言しながらも、必ず『対立』ではなく『協調』に持っていく。他国からうまくお金も集めるし、かなり賢い外交をしていると思います」(前泊教授)

 トランプ氏は「アメリカ・ファースト」を掲げ、ビジネスマンらしい発言が目立つ。政治経験がないからといって侮ることができない相手だという。

「そもそも、国際政治のベースは国益で、損か得かで動くものです。ところが日本は国際協調や正義などの『建前』でしのいできた。従来の日本の常識はトランプ氏には通用しないでしょう」(同)

 しなやかでしたたかな外交にどう立ち向かうか。日本は、しっかりと覚悟しなければならない。

週刊朝日 2016年11月25日号