滞在していたドイツ(9月初め出国)から帰国した崔順実氏は、朴大統領の最初の謝罪談話から6日後、検察に逮捕された。

 崔氏は青瓦台の機密文書流出や人事介入などの国政介入疑惑のほかにも財団の資金横領や一人娘の大学での不正行為でも取り調べを受けている。

 財団の資金集めは青瓦台が介入して企業に投資を促したことが明らかとなり、娘も数々の特例を受けた事実が明るみになっている。娘は名門・梨花女子大学に推薦入学後、SNSに「あんたらの親を恨め。カネも実力だ」と書き込んだいわく付き。母親が逮捕された日に大学を自主退学した。

 50代の主婦が嘆息する。「入学も退学も意のまま。子供を必死で塾にやって大学に行かせて、それでも就職先がなくて苦しんでいるのに、あんなカルト教の無知蒙昧な親子が大統領の権力を利用して大金を手にしてやりたい放題なんて、ドラマのほうがまだまし。しかも国のトップがそんな人物に操られていたと思うと怒りを通り越して涙が出る」

 娘を巡っては彼女の乗馬訓練費用を財閥が支援していた疑惑も浮上し、サムスンが家宅捜索を受けた。

 大統領制の韓国では、「間接的なものを含めて2万個のポストを大統領が任命できる」(前出記者)といわれるほど大統領の権力は絶大だ。同じような事件は歴代大統領で繰り返されてきたが、大統領本人が関わっているのは初めてだ。

 朴大統領は11月4日に2回目の謝罪談話を出し、首相(副大統領)を指名し収拾を図ったが、「これも疎通のない大統領の一方的なやり方と野党と国民の反感を買った」(前出記者)。

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