「肌の調子が良くなり、『3人も子どもがいるように見えない』と言われることが増えました。何より、心に余裕ができ、子どもにイライラしなくなったのがうれしい」(りか子さん)

 よいことずくめに見える朝時間。ただ、「パテカトルの万脳薬」を本誌で連載中の脳研究者、池谷裕二・東大教授はこう指摘する。

「朝は仕事がはかどると感じる人はそれでいいのですが、脳は必ずしも朝に最大のパフォーマンスを発揮する仕組みになっているわけではありません」

 朝の時間は、主に家事などの単純作業や運動、読書など受動的な行動が向いている。趣味の時間にするのも良いという。

「昼や夜と比べて朝は脳が処理できる仕事量が少ないので、体を動かしながら覚醒させるのが合理的。それでも、夜にした仕事を朝にチェックするのは理にかなっています。寝る前にインプットした情報は寝ている間に記憶に定着し、整理されるからです」

 これからの時期、朝は寒くて暗く、早起きがつらそうだ。どうすれば、決めた時間にすっきり起きられるだろうか。

 4時起き主婦、りか子さんはベッドで目薬をさし、目をシャキッとさせる。その後、枕元に用意した暖かい靴下と羽織りものを身につけ、ベッドを出る。

「朝6時」社長の池田さんは「タイマーで暖房がつくようにしておく。寝坊すると無駄になるので、それがプレッシャーになります。起きてから食べるお菓子など、ごほうびを用意しても」と話す。

 一方で、池谷教授は「起きる時間は休日も含めて毎日同じ時間に。休日の遅起きは自分で時差ぼけ状態をつくるようなもので、脳の働きに悪影響を与えます。疲れがたまっているならば昼寝を」とアドバイスする。

週刊朝日 2016年11月18日号