林:レミさんの古いレシピ本に載ってたビスケットケーキ、あれ、傑作ですよね。牛乳に浸したマリービスケットと生クリームをサンドして、ラップで包んで冷蔵庫で冷やして……。

レミ:あれは黒柳徹子さんが教えてくれたの。私がつくったのを「徹子の部屋」に持ってったら、「あら、私がつくるのよりぜんぜんおいしいわ」と言ってくれた。

林:和田さんは毎日お家で夕飯召し上がるんでしょう?

レミ:そう、家で食べる。

林:レミさんとはスーパーでよく会いますよね。「今日のおかずは何ですか?」って聞いちゃったりして。

レミ:両方のぞいて、「マリコさんちもサンマか」とか(笑)。

林:うちは平日はお手伝いさんにお願いしていて、私は土日につくるんです。このあいだ久しぶりにサトイモの煮っ転がしやコンニャクの煮つけを大きな鍋につくったら、全部ペロッと食べてくれました。煮物って手間と時間がかかるけど、こんなに喜んでくれるならもっとつくらなきゃと思いましたよ。

レミ:若いときにサトイモの煮っ転がしをつくったときに、先に調味料全部入れたらどんどん硬くなっちゃったの。なんでかなと思っていろいろ試してみたら、煮込んで軟らかくなってから調味料を入れると、スッと味が染み込むのね。男と女もそうね。男の人が「好きだ、好きだ」と言っても、女の人が一度「好きじゃない」と思ったら、どんなに言っても絶対ダメなのね。心が軟らかくなったときに「好きだよ」って言ったら、「私も好きよ」ってなる。だから男女関係と煮物ってすごく似てると思った。

林:深いお話じゃないですか~。でも、レミさんは和田さんと出会って1週間で結婚を決めたんですよね。

レミ:1週間で染み込んじゃったの。ビビーッと入ってきた。あのときの私は圧力鍋みたいな気持ちね(笑)。一瞬でパッと軟らかくなっちゃった。すぐ「オッケー!」って。

林:まあ。なんていいお話。レミさんて本当にお幸せですね。

週刊朝日 2016年11月18日号より抜粋