平野レミさん(右)と林真理子さん(撮影/堀内慶太郎)
平野レミさん(右)と林真理子さん(撮影/堀内慶太郎)

「私はみんな一緒に仲良くいる瞬間を、とっても大事に思う」と家族を大切にする平野レミさん。夫であるイラストレーターの和田誠さんのおかげで料理愛好家になったという彼女が、作家・林真理子さんとの対談で、「男女関係と煮物ってすごく似てる」と持論を明かした。

*  *  *

林:和田さん、「おいしい、おいしい」っておっしゃるんでしょう。

レミ:そう。私がごはんつくると必ずコメント言ってくれるの。いまいちなものをつくっても、絶対「まずい」って言わないのよ。「ちょっとコクがないかな」「塩が足りないかな」とか、言い方がすごくうまいの。だから私、もうちょっと頑張ろう、もうちょっと頑張ろうって、こうなっちゃったの。和田さんのせいなの。

林:レミさんの本職は歌手ですもんね。

レミ:でもね、歌より料理のほうが手っ取り早いし、みんなを喜ばせることができるから。歌は、前の日酔っぱらうと声が出ないし、プレッシャーもあるし、私は顔もきれいじゃないし、スタイルもよくないからね。そう考えたら、料理やってみんなを喜ばせるほうがいいかなって。ドレスのことも考えなくていいし、まつ毛くっつけることもないし(笑)。私がここまで仕事をやってこれたのは、キッチンに入ってる時間が短くて、でもゴックンしたときに「おいしい」って言ってもらえる料理をつくってきたからだと思う。

林:レミさん、暮れの番組で1時間半でおせちをつくったんでしょう? 何種類つくったんですか。

レミ:15種類ぐらいつくったかな。デザートも入れて。生放送だったの。

林:すごい。

レミ:世の中の主婦の人、きっと私と同じで無精なんだと思う。のどで帳尻が合えばいいという気持ちでやってるから。

林:レミさんの明るいキャラクターもあると思うな。見てるだけで楽しいし、「この人がつくる料理、きっとおいしいんだろうな」という気持ちになりますよ。

レミ:だって、食べるっていうのは楽しいことなんだしさ。暗い気持ちでつくったら、まずくなるんじゃないかしら。

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