盲目の噺ができない…春風亭一之輔が落語界の自主規制を危惧 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
猫特集

AERA dot.

盲目の噺ができない…春風亭一之輔が落語界の自主規制を危惧

連載「ああ、それ私よく知ってます。」

このエントリーをはてなブックマークに追加
春風亭一之輔が落語界の自主規制を危惧(※写真はイメージ)

春風亭一之輔が落語界の自主規制を危惧(※写真はイメージ)

「小言幸兵衛」では、大家が長屋を借りに来た男に、

「3年も一緒にいて子供のできないような尻の冷えたかみさんなんか離縁しちまえ!」

 なんて嫌なセリフを吐く。「不妊治療中のお客様がいます」なんて知らせはまだ楽屋に来ないけど、もし客席にいたら……と思うと、この噺はやる気になれないや。

 落語好きな視覚障害者の方に、

「『景清』や『心眼』を聴いたことないんですが、あまり寄席ではかからないんですか?」

 と聞かれたこともある。「景清」は、盲人が願掛けをして目が見えるようになる噺。一方「心眼」は、願掛けするけどかなわない噺。どちらも寄席でも聴ける人情噺だ。おそらく客席にその方がいることが楽屋へ伝わって、みな控えてるのだろう。

「聴きたいんですけどねぇ」

 そんな人もいるのだ。

 寄席と噺家はなんだかんだ優しい。その優しさが私は好き。しかし、なんでもかんでもやめとこうはけっこうマズいと思う。

 この文脈の「乞食」は人を傷つけるからダメ。この流れでの「めくら」はアリだろう。想像力を働かせて向き合わないといけない。自分で考え、その上で怒られたら素直に謝りましょう。

 そうしないと戦時中の「はなし塚」みたいなことがまた起きちゃうかもしれない。そんな雰囲気あるし、噺家は読まなくていい空気読みがちだし。

週刊朝日 2016年11月18日号


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。新刊書籍『春風亭一之輔のおもしろ落語入門 おかわり!』(小学館)が絶賛発売中!

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい