北原みのり「アメリカとサヨナラしたい」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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北原みのり「アメリカとサヨナラしたい」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

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米国大統領選の報道を見て、アメリカ、日本について考える(※イメージ)

米国大統領選の報道を見て、アメリカ、日本について考える(※イメージ)

 ちなみにこのインタビューの後、友人がけがをし、救急車を呼ぶ経験をした。乗る前に「1キロ◯◯ドルだ」と救急隊員に念を押された。それがいくらだったかは覚えていないけれど、6時間ほど病院で治療を受けた後、救急車代を含めた請求書が100万円近いのを見た時、全身から冷たい汗が噴き出て震えた。

 あの時、アメリカはとても遠い国だと思った。ところが、どうだろう。トランプ氏の暴言や、アメリカンドリームをアピールする姿を見ていると、日本にもこういう男は、今の時代、いっぱいいることに気がつかされる。競争を勝ち抜くことを誇りにし、自己責任を声高に問い、教養のなさを暴言で補い、エロをお得意とし、マッチョな乱暴さで人気を得る男たち。金髪のカツラをかぶったらトランプと同じ笑い方をする政治家や起業家は、けっこういるんじゃないか。さらにTPP承認目前の今、「自由」の名のもとに「安全」が奪われる恐怖がリアルなものになっているし。ああ、アメリカが近すぎる! しかもトランプ男子だけでなく、ヒラリー女子も増えてない? 独・メルケル首相とファッションが似てるのに(おなかを隠す大きなトップスにパンツスーツ)、メルケル氏に感じる安定感はゼロで、クリントン氏の場合は攻撃性を隠している防御服にしか見えなくて怖い。攻撃力がなければ生きていけず、だけどそれをむき出しにしたらたたかれる女の人生。女の生き難さもアメリカ並みになってきているのかもしれない。ああ、アメリカとサヨナラしたい。

週刊朝日  2016年11月18日号


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北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

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