動物写真家・岩合光昭さんが見つけた“いい(こ)”を紹介する「今週の猫」。今回は、尾道へ向かう、島根の県境で遭遇した「猫のほそ道」の猫たちです。

*  *  *

 尾道へ向かって、国道とは名ばかりの細い山道を抜けていく。県境あたりで陸橋を渡ろうとして、何気なく下を通る道に視線を向けると、白いものが目に入った。

ヤギでもいるのかと車を停めて歩くと、道の真ん中にたくさんのネコがいる。かたまっていたので、大きな動物に見えたようだ。前肢が少し不自由な一匹が、いらっしゃい、と言わんばかりに足にすり寄る。

 人気のない、行き止まりの道。時折橋の上を車が走りすぎる。しばし、ネコのほそ道の一員となって静穏な時を過ごす。

岩合光昭(いわごう・みつあき)
1950年生まれ。動物写真家。NHK BSプレミアムにて「岩合光昭の世界ネコ歩き」放送中。写真集に『猫にまた旅』など多数。

【関連リンク】
デジタル岩合 http://www.digitaliwago.com/

週刊朝日  2016年11月11日号

著者プロフィールを見る
岩合光昭

岩合光昭

岩合光昭(いわごう・みつあき)/1950年生まれ。動物写真家。1980年雑誌「アサヒグラフ」での連載「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。1982~84年アフリカ・タンザニアのセレンゲティ国立公園に滞在。このとき撮影した写真集『おきて』が全世界でベストセラーに。1986年ライオンの親子の写真が、米「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙に。94年、スノーモンキーの写真で、日本人として唯一、2度目の表紙を飾る。2012年NHK BSプレミアムで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のオンエア開始。著書に『日本のねこみち』『世界のねこみち』『岩合光昭写真集 猫にまた旅』『ふるさとのねこ』『ネコを撮る』『ネコへの恋文』など多数。初監督作品となる映画「ねことじいちゃん」のBlu-rayとDVDが発売中。

岩合光昭の記事一覧はこちら