報道陣に手を振るドゥテルテ氏(10月25日夜) (c)朝日新聞社
報道陣に手を振るドゥテルテ氏(10月25日夜) (c)朝日新聞社

「バカども!」
「クソッタレ!」

 10月25日夕、都内のホテルで開かれた在日フィリピン人との交流会に参加したフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、お得意の米国への過激発言で聴衆を熱狂させた。

 ドゥテルテ氏の放言癖に国際社会はあきれ気味だが、フィリピン人の間では人気は衰えていない。交流会に参加したフィリピン出身の女優ルビー・モレノさん(51)も、ドゥテルテ支持者の一人だ。ルビーさんは、当日の様子をこう話す。

「会場には千人以上は集まっていたかな。ドゥテルテが笑顔で会場に入ってきたら、みんなパニック状態。私も『ドゥテルテ!』と叫んで、彼の手に触りました。すごく感動しました」

 ドゥテルテ氏は、フィリピン南部のミンダナオ島のダバオ市長を計7期務めた。市長時代、市民による自警団を組織し、麻薬犯罪者や窃盗犯を徹底的に取り締まったことで有名となった。ちなみにルビーさんは、ミンダナオ島の生まれだ。

「ダバオ市は、彼のおかげでフィリピンの中でいちばん平和な街になった。彼は言いすぎることはあるけど、約束はちゃんと守る。『麻薬犯罪者を殺す』と言っているのも、彼がフィリピンを愛しているからなの」(ルビーさん)

 自由奔放な発言と行動に、日本側は「パフォーマンスなのか、本気なのか」(官邸関係者)と真意を測りかねている。だが、ドゥテルテ氏は、単なる「暴君」と片づけてしまえないほど、外交戦術が巧みなのだ。

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