とはいえ、様子を見ている間の痛みが気になる人が多いだろう。その間、症状の改善につながる、自分でできるストレッチが効果的だ。

 なお、ドラッグストアなどで「痛みに効果がある」として販売されている商品については、「市販の貼り薬やサポーターは使ってみて『症状が楽になったな』と感じるのであれば、使っても問題ありません。市販のコルセットは筋肉から引き起こされている痛みであれば効果的といえるでしょう」(奥村医師)。

 患部を温めることは血行促進につながり、患部が動きやすい状態になる。一方、冷やすことが効果的なのは運動直後の関節と外傷を負ったときの受傷部位に限られており、患部の冷却による鎮痛効果は期待できるが、筋肉や関節の動きは悪くなってしまう。

 痛みが生じたきっかけやそのタイミングに応じて対応方法を変える必要がある。

 首から肩にかけての痛みは、肩こりと考えて放置されてしまうことが多い。

 しかし、首には運動や感覚をつかさどる神経が通っており、重大な病気による痛みのこともある。そこで、首から肩にかけての痛みは、肩こりか病気による痛みかの判別が重要だ。

「手や足にしびれなどの違和感を覚える」「首がいつもより動かない」「ここ何カ月か、首を倒して上を向くことが難しい」といった特徴がある場合、何らかの原因で首の神経が障害されている可能性がある。

 また、「寝ていられないくらい痛い」という場合も注意が必要だ。これらの症状がある場合は医師に診てもらったほうがよい。

 なお、様子を観察していて、痛んだり痛くなかったりするなど、痛みの強弱がある場合には経過を見ても問題はない。

 一方、首を前に倒したとき首から肩の痛みが強くなる場合、肩こり(緊張性疼痛)であることが多い。同時に肩が張っていることが多いのも特徴だ。

 肩こりの場合には、首や肩が一日中痛いと思っていても、動かしたり、お風呂に入って温めたりすると症状が楽になっていることがある。その場合は、体操がおすすめだ。体操は、痛みの緩和や痛みの再発予防にもつながる。痛いからといって動かないと、かえって痛みが悪化することがある。効率的に筋肉をストレッチできる体操を少しずつ、無理のないペースでおこなうことが、痛みの緩和のために大切だ。

週刊朝日 2016年11月4日号