「都が公表した内部調査報告書の中で、技術会議が地下空間を発案したとする記述が虚偽だと発覚した。これを受けて小池知事の執務室に呼ばれた当時の幹部は『自分たちが信じてきた石原さんを守りたかった。石原さんを否定することは、自分たちがやってきたことを否定することになる』と釈明した。これに小池知事は激怒して、再調査を命じたようです」

 13日に閉会した都議会は、市場問題の特別委員会を設置し、閉会中も審議を続けると決定した。ただ、強い権限を持つ「百条委員会」の設置には至らなかった。百条委設置を求めていた共産党の清水ひで子都議はこう語る。

「百条委を設置すれば、出頭を命じられたら拒否できない。石原氏を呼ぶにはそれしかないのですが、自民党、公明党に民進党も取り込まれてしまった」

 百条委の設置には与党である自民党と公明党の賛成が必要で、ハードルは高い。自民党都議はこう話す。

「石原氏への恩讐はあっても、小池さんは浜渦さんとの付き合いもあるし、本音では、百条委員会まではやりづらいんじゃないかと思いますね」

 政治評論家の浅川博忠氏はこう語る。

「石原氏としては、下手に公の場に出て記憶違いなどから間違った証言をしたら、完全に晩節を汚すことになってしまう。健康面などを理由に、今後は逃げの姿勢に終始するのではないか。都議会自民党には石原氏への遠慮があり、完全に追い詰めることはしないでしょう。小池氏も9月からの議会では都議会自民党と今以上事を荒立てない姿勢を見せており、結局は市場長など都職員幹部の処分までで終わるのではないか」(本誌・上田耕司、小泉耕平、村上新太郎)

週刊朝日 2016年10月28日号より抜粋