世代別「勝算アリ」の職種とは(※イメージ)
世代別「勝算アリ」の職種とは(※イメージ)

 全国の有効求人倍率が1.37倍(8月)と過去20年間で最も高い水準に達し、まさに転職希望者にとって“売り手市場”。しかし、採用側が求める人材と求職者側の能力のギャップが深まり、数値の実態が反映されていないというのが実情のようだ。

では、転職市場で勝ち抜く人材像とはどういうものか。ハーバード大のロバート・カッツ教授が提唱した理論「カッツ・モデル」をもとに、転職サイト大手「エン・ジャパン」人材紹介事業部の菊池篤也事業部長に聞いた。

「カッツ・モデル」は社員に求められる能力を、業務遂行、対人関係、概念化(取り組むべき課題の本質を見極める技術)の三つに分け、若年、ミドル、トップマネジメントというそれぞれの階層でどの能力がどれくらい必要かを示したものだ。簡単にいえば、若手社員は仕事さえできりゃ及第点なわけだが、管理職となると話は違う。階層が上がるほど試されるのは、対人関係や概念化、要は人間力だ。実際、転職市場で企業側が求める能力も、このモデルに示された内容が前提という。

 それらの要素を踏まえたうえで、エン・ジャパンの転職実例をもとに、今度は世代別「勝算アリ」の職種とは何かをみていこう。

●営業系→伸びしろ大きい20代
まず「営業系」。この分野で人気なのは若者、20代だ。個人向け・法人向け営業ともに求められており、20代の求職者は全方位でニーズがある。専門性が問われないのは“伸びしろ”のほうに期待ができるためだ。

 一方、営業系で転職が簡単ではない世代は30代と40代。30代の転職には、業界経験と技術的知見が必要となる。保険業界ではたとえ「前職場の顧客」を持っていても、30代の転職には売りにならないという。「採用時に証明ができないためです。試しに契約社員でと打診されても、求職者の側が契約社員では入らない」と菊池氏。また、不動産業界に関しては、その会社が持つカラーとの相性も問われるという。

 逆に若手が不利で、経験ある30代が有利なのは海外営業だ。40代になるとさらにマネジメント経験も不可欠。社内のポジションも限られる世代のため、より狭き門となるようだ。

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