あんど「ばくらい」/能登半島産の赤ナマコのいいのが入ると、内臓を丁寧に塩漬けして、コノワタを作る。酒と水で塩抜きした後、青森産のホヤと合わせて1週間ほど寝かせて作る絶品塩辛。950円(税込み)(撮影/写真部・東川哲也)
あんど「ばくらい」/能登半島産の赤ナマコのいいのが入ると、内臓を丁寧に塩漬けして、コノワタを作る。酒と水で塩抜きした後、青森産のホヤと合わせて1週間ほど寝かせて作る絶品塩辛。950円(税込み)(撮影/写真部・東川哲也)

 著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回、俳優の大和田伸也さんが選んだのは「あんどのばくらい」だ。

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 莫久来(ばくらい)を初めて食べたのは、もう20年も前。「アニー」というミュージカルで仙台へ行ったときでした。福井の出身なので、海の幸には目がないんですが、そのおいしさに感動したのを覚えています。ホヤとコノワタの塩辛で、東京ではめったにお目にかかれませんよね。

 このお店は最初、お世話になっている作曲家の先生に連れてきてもらいました。若い板長さんに、絶対知らないだろうと思って「莫久来って知ってる?」って聞いたら、「ありますよ」と。ええっ? あるの!って、驚きましたねえ。以来、食べたくなると、ここへ来るんです。

 お店で手作りしており、ホヤ独特の香りも優しくて、コノワタのほろ苦さと甘みが広がって。優しい歯触りの、上品な味わいです。これをちょっとつまんで、辛口の冷酒をきゅきゅーっ、とね。たまりませんよ。珍味ですから人によって好き嫌いは分かれるし、なかなか「莫久来仲間」は増えませんが、酒好き、魚介好きの僕には、とっておきの一軒の逸品なんです。

■あんど
東京都港区赤坂3-11-1 難波ビル1F/営業時間:17:00~翌3:00L.O.(土は~21:30L.O.)/定休日:日祝

週刊朝日 2016年10月21日号