「高給のまま出向しており、民間より高い人件費率になるなど無駄が多いのが実情です。事業も国や市区町村が実施していることと重なっている。雇用支援をうたう東京しごと財団など、ハローワークや民間企業もあるのに本当に必要があるのか。身内どうしで癒着して、法人側は事業に税金の投入を当て込んでいます。都は13年度に臨海地域開発事業会計などで、報告団体2社に委託費として27億円を拠出していますが、実に局全体の委託経費37億円の7割を占め、公平性や経済性の面で疑問です」

“ファミリー企業”には、税金を原資とした多額の補助金や委託料等が都から投入される法人もある。一方で、都が浪費の目くらましに関連法人を利用することもある。東京都歴史文化財団が15年度に「東海道五十三次」を9400万円で購入している。

「包括外部監査から、本来は都が購入すべきではないかと指摘されました。生活文化局が買うといろいろと指摘を受けるから、財団に買わせたのでしょう。オークションで購入したようですが、購入理由を議会で問うと『海外流出の緊急性を考慮した』と回答しました。都は母屋でも離れでもすき焼きを食べていると言われています」(上田氏)

 都は警察と消防を含めると約16万人を擁する巨大組織だ。加えて“ファミリー企業”には約3万人近い「隠れ社員」が働く。

 都庁関係者は一連の天下り問題についてこう指摘する。

「都本体がスリム化されても、監理団体などが肥え太っていたら意味がない。小池さんには、その点にこそ切り込んでほしい」

 だが、都の方針はどうやら逆のようだ。監理団体を都政の運営を担う「都政グループ」の一員として捉え、連携をさらに強化していくという。

 一方、都庁の行政をチェックする側の都議会議員の報酬も全都道府県トップで、月額102万1千円。ちなみに、大阪維新の会主導で議員報酬の3割カットが続く大阪府では、議員報酬は全国最低の月額65万1千円である。自らの報酬を半額にする条例案を提出してみせた小池知事は、都庁の「利権」に切り込めるか。(本誌・小泉耕平、亀井洋志、上田耕司、西岡千史)

週刊朝日 2016年10月14日号より抜粋